3.10.2015

ドッグ・ホイッスル(犬笛)の話: そのさん~基本のキ~

何度か書いていますが、キャスカと暮らすまでドッグ・トレーニングとは無縁だった私。仔犬から育てたことも大きかったのかもしれないけれど、家族で可愛がって育てたら先代も先々代もすくすくと育ち、躾はしたけれど、困ることも特になく、呼び戻しにいたっては教えたことすらナイという(← でもフリーにしてラリラリ散歩していた)。

ハイパー&センシティブ&セター(← ここ大きい要素)なキャスカを迎えて、犬飼い初心者に成り下がり、こりゃ大変!と我々ペアの笑いと涙のトレーニング道が始まりました。



犬も飼い主もみーんな違うので、トレーニングもみーんな違う。気質や癖や傾向により試行錯誤するところがとても多いものだわ、と経験から学び。「〇○式」とか「どんな犬も〇○で」とか、犬のトレーニングに限らず原理主義がきらいなのですが、一方で基本を知るということは大事というのも経験から学び。

セター・ポインターはガンドッグのなかでも特殊だということもつくづくわかり、ちょっと違うーという声もあるかもしれませんが、ガンドッグ・ホイッスル・トレーニングの基本のキ的なよくまとまっているアーティクルを見つけたので(← 何様目線か)、今日は拙訳にてご紹介。

勝手に翻訳は、著作権的に本来アレですが引用元を明示するので、すみません、大目にみてください。何かあれば即時削除します。

だって以前日本語でも探したけれど、ホイッスルどころか猟犬種のトレーニングってほんとにビギナー向けの解説がネットに転がっていないんですもの...イギリスだとけっこう目にするし、ガンドッグに特化したトレーニング本などもちらほら見つけられます。ただし、ガンドッグ=レトリーバー、スパニエルが主な対象となるため、やっぱりセター・ポインター向けを探すのは困難(← ふるーい本ならあるけれど、手法も当然クラシックでヒエーって感じ)

アーティクル著者はPippa Mattinsonというイギリスのガンドッグ・トレーナー。競技志向ではなく家庭犬としてガンドッグと暮らすオーナーにガンドッグのメソッドを取り入れたトレーニングを広めたり、実猟へのステップをアドバイスしたり、まあとにかくガンドッグともっと楽しもうという活動を推進しているっぽい感じです。(← 適当でごめんなさい) セターはやっぱりいないんですけれどね。イギリスでガンドッグの団体というとケンネル・クラブとその参加クラブがメインかと思いますが、ガンドッグ・トラストという非営利の団体を立ち上げたりしている模様。

アーティクル引用元はこちら。Pippaの運営するウェブサイトTotally Gundogs内のトレーニングトピックの中から見つけました。さてさて、ガンドッグ・ホイッスルとはなんぞや。犬によって、国によって、また実猟なのかFTなのかワーキング・テストなのかスカリーなのかの場によってもいろいろ異なってくる部分はありますが、いちばん大事なポイントがよくまとまってるなーと思いました。なお、※で始まる斜文字文は、私のコメントです。

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ガンドッグ・ホイッスル

シューティング・フィールドで作業に従ずるガンドッグにとって、ホイッスル・コントロールは欠くことができないものです。しかし私は、すべての飼い主にもホイッスルで犬を訓練することをお勧めしたいです。理由を説明しましょう。

まず最初に、ホイッスルができること、できないことを整理してみます。


ホイッスルができないこと

経験豊かな飼い主は驚かれるかもしれませんが、ドッグ・ホイッスルに高い期待を寄せ、ホイッスルそのものには犬の訓練においてなんの特別な力がないことを知ってひどく落胆する飼い主はたくさんいるのです。

ホイッスルを買う際は、犬にとってホイッスルが「それ自体は特別な」意味を持たないことを理解する必要があります。犬がホイッスルの音に興味を持つことはままありますが、それは日常会話や私たちの通常の声のような一定の生活雑音と比べて、ホイッスルが特徴的で変わった音であるからです。

ホイッスルが「特徴的な」音であるため、犬は確認しようと近づいてくることがありますが、勘違いしてはいけません。これは一時的なものだからです。ホイッスル音を価値のあるものと関連付けができなければ、犬はすぐに興味を失うでしょう。 


犬を訓練するのはホイッスルではなく人間

ペット・ドッグ(家庭犬)の訓練に、ホイッスルを買う必要はあるでしょうか?

厳密に言えば、ホイッスルは必要ありません。犬を訓練するのはホイッスルではなく、人間だからです。どんな犬でも声だけでリコール(呼び戻し)を教えることはできますし、ホイッスルなしでも高い水準まで訓練をすることができます。

しかし、ホイッスルは非常に便利なツール(道具)です。野外でその便利さはよく発揮されますし、犬が遠く離れたところにいるときには声を限りに張り上げて叫ぶより、ホイッスルをひと吹きするほうが威厳も保たれると感じるかもしれませんね。 


なぜガンドッグのトレーニングにホイッスルを使うのか?

ガンドッグのトレーニングに私たちの声ではなくホイッスルを使うのには、主に3つの理由があります。
  • 聞こえやすい
  • 曖昧さがなく、はっきりしている
  • ゲーム(獲物)への影響が少ない

聞こえやすい

ホイッスルを使うひとつめの理由は、野外でそしてさまざまな天候下でガンドッグがハンドラーから離れて作業をするからです。人間の声では単純に、ホイッスルほど効率的に届きません。特に風の強い日には。 


曖昧さがなく、はっきりしている

高度なドッグ・トレーニングにホイッスルが使われるふたつめの理由は、明確で曖昧さのないシグナルを伝えられるからです。

人間の声は非常に変化に飛んでいるものですが、これは動物の訓練をする際には不利に働きます。ぱきっとして明確な一貫性のある合図を使えば、犬はそれぞれのコマンドをもっとも効率的に学習することができるのです。

怒っている時、疲れている時、または喉が嗄れている時であっても、品質の良いホイッスルであればそのピッチに変化はありません。安定しているうえに、一貫性があるということですね。 


ゲームへの影響が少ない

食料をテーブルに運ぶこと、これがガンドッグの目的です。具体的に言えば、ハンドラーによって撃ち落とされた食料のことです。人間の声はゲームをナーバスにさせますが、ホイッスルを使えば影響はずっと小さくなります。

「ハンター」が手ぶらで家に帰りたくないのであれば、ガンドッグの仕事へ与える影響は最小限にとどめるのが大切になります。 


ホイッスルに限界はありますか?

完全に静かな状況で犬に作業をさせたいこともあります。そのような場合には、ハンド・シグナルか囁き声でのコマンドがより向いているでしょう。犬がすぐ近くにいる場合も同様です。また、声と違ってホイッスルは紛失してしまったり、持っていくのを忘れるなんてこともありますね。実際のところ、ほとんどのガンドッグ・ハンドラーはボイス・コマンドをまず教え、それからトレーニングが進むにつれてホイッスルとハンド・シグナルを加えていきます。

(※先日の記事にコメントをくださった、セター先輩オーナーの方からアドバイス:予備ホイッスルを常に持っておけ! まんがいちの状況で、壊れたり失くしたりしたら大変なことに。私も早速予備を買いました)

(※訳すのに自信がない部分があったので、この後の1段落飛ばします。トレーニング自体の話ではないのでムリに訳すより安心かなと思って。気になる方は原文をご覧になってー(><) ごめんなさいー) 


「ガンドッグ」ホイッスルの何が特別なのか?

私が使っているAcmeのガンドッグ・ホイッスルはとにかく頑丈です。30年以上使っていますが、いちども壊れたことがありません(何度か失くしていることは確実ですけれど)。この頑丈さは、ペット・ドッグ(家庭犬)の飼い主に薦める理由のひとつでもあります。

うっかり落としてしまった時に見つけやすいような、明るい色のものも今は買うことができます。

また、Acmeのホイッスルは音が非常に安定しています。飼い主の好みに合わせて異なる「ピッチ」の商品を展開していますし、もし失くしてしまっても、まったく同じトーンのものを買い直すことができるのです。

銃砲店やペット用品店で鹿角でできたホイッスルを買うこともできます。いろんな形状やサイズのものがあり、とても素敵なのですが、もし失くしてしまった場合には同じピッチのものを手に入れるのはちょっと難しいかもしれません。大多数のガンドッグ・ハンドラーがAcmeのホイッスルを使うのはこのためです。 


ホイッスルで犬を訓練するには?

ホイッスルに反応するよう犬に教えるといっても、なにも特別なことや変わったことはありません。ボイス・コマンドとまったく同じように教えることができます。起こしてほしい行動とホイッスルを関連付け、要求した行動がとれたときにリワード(報酬)をあげます。このプロセスには時間がかかるものです。

"Gundog Club Training Guides" で訓練の詳細なインストラクションを見ることができます。あなたの犬がペット・ガンドッグ(家庭犬として暮らす猟犬)で、私のリコール訓練プログラムを実践してみたい場合は、2012年7月から受講が可能です。「トータル・リコール(Total Recall)」といって、(書籍を)Amazonでも購入できます。

(※犬によってはほんとに時間がかかります。キャスカ2年目。たぶん一生続きます。書籍はAmazon Japanでも売ってます。リンクはこちら


一般的なガンドッグ・ホイッスルのコマンドって?

もっとも良い効果を出すにはどうやってホイッスルを吹いたらいいんだろう? と戸惑うこともあるかもしれません。原則として、常に同じ吹き方でさえあれば、どんなホイッスル・シグナルを使っても問題ありません。とはいえ、ガンドッグの世界で一般的に使われる吹き方もあり、そこから始めてみるのも良いかもしれませんね。


リコール・シグナル(呼び戻し)

「ピップ」音の連続がよく使われます。私は5回の「ピップ-ピップ-ピップ-ピップ-ピップ」を使います。トレーナーによっては3回だったり4回だったりすることもあり、レトリーバーにはそれも良いでしょう。私はスパニエルを訓練しているので、リコールとターン(こっち向いて)の違いを確実にはっきりとさせられる方が好きです。

コツ:仔犬がごはんを食べているあいだ、リコール・シグナルをそっと吹いてみましょう。初めから、素晴らしいリワードと関連付けができるでしょう。 

(※他と区別するためにオリジナルのコマンドを使う方もいらっしゃるのですって。私は最初に教わった「ピーピーピーッ」の3回をずっと呼び戻しに使っています。イギリスに来たら同じ3回を使っている人多し。距離が遠い場合は、途中で気が逸れてしまうこともあるので、こちらに走ってくる間に「ピピピッ」と定期的に吹いて励まします。「そうそう、そのままおいで~!」という感じでしょうか)


ストップ・シグナル(停止)

大きくて強いひと吹きがよく使われます。「ピーーーーーーップ」

コツ:静かで短い「ピーーップ」で停まることをまず教えてみましょう。本当に強いひと吹きは、距離が離れた時に強調として使えるように。

(※停止を「ストップ&座れ」で教える場合と「ストップ」のみの場合がある(立っててもいい)。ストップしたら、次の指示を待ち動かない。でも、競技によってもいろいろみたいですね。キャスカはテンションがアレなので、より落ち着きが求められる「ストップ&座れ」を教えたいのですが試行錯誤中。まず、リードウォーク中に歩く→ピップ→座るを練習し、足元でできるようになったら、距離を伸ばしていくというのが教え方としてメジャー)


ターン・シグナル(こっち向いて)

ハンティング・ドッグには「ピップ音」2つでこちらに注意を向けるよう教えます。「ピップ-ピップ」

ホイッスルの音をどう出していいか、どうやって効率的に使ったらいいか、まだ迷っている場合はガンドッグ・インストラクターにデモンストレーションを見せてもらったり、ホイッスル・トレーニングで良いスタートを切るための基本を一通り教えてもらうのも良いでしょう。

(※アテンション・ホイッスルとも言う? いま通っているレトリーブのクラスでは、ストップ・ホイッスルがこのアテンションも兼ねていて、「ピーーーッ」で「停止&座る&ハンドラーを見る」です。リコールさえできればーと思っていましたが、犬の安全を守るためには停止をキープしてほしいシチュエーションも経験して...がんばって教えているところ)


ボイス・コマンドからホイッスルへの切り替え

もし犬がすでにボイス・コマンドで訓練されているのであれば、比較的早くホイッスルに切り替えることができます。数日間はボイス・コマンドを先に出してからホイッスルを吹き、それからボイス・コマンドを徐々になくしていきます。

家庭犬であっても、こうした訓練のしがいはじゅうぶんにあると感じると思いますよ!

ホイッスル・トレーニングを楽しんでください!


(※もちろん犬によって千差万別。たとえばキャスカ。サウンド・センシティブなので、ホイッスルを怖がってしまいましたー。最初がとても大事なので、トレーナーさんに相談しながらステップを細かくわけて教えてみました。次回、導入&ステップの我が家バージョンをちょっとご紹介できればと思います)

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以上、アーティクルのご紹介でしたー。

文字だらけの記事になってしまったので、最後はお笑いで。YouTubeで見つけたクレイジー・セター。全世界共通で、ほんとにおもしろい犬だなあ。





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 「笛、はじめて聞いた時は、ちょうビビったわ」

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5 件のコメント:

  1. とても分かりやすくて親切な解説と訳をありがとうございま~す。
    そうそう、そう教わったわ~と思いながら、初心に返りながら読みました。

    コルクの場合はホイッスルでユーターンは出来るけれど、その場で停止は出来ません。
    本当は安全の為にはその場で止まって静止というのも出来ると良いのでしょうね。
    ただFTではポイントとバッキング(先行した犬がポイントしたら、あとから行った犬は先行した犬の後方でポイントする)以外には止まるというシチュエーションはないので、特に走っているときのストップは教えていません。
    バッキングに関してですが、教えなくても最初からやる子もいるんだそうです。
    走りのパターンなんかも同じで、かなりその犬のもって生まれたものによるところも大きいということなのでしょう。
    なんだか何を書いているんだか?ですね。
    で、確かに笛は目立つ色のほうがフィールドで探しやすい!(笑)

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    1. コロママさん、コメントありがとうございます☆
      そうだった~と私も基本に立ち返りながら訳してました。そういや吹き方も時にマチマチにしちゃってたわ...とか。このへんが犬にいかにわかりやすく教えられるかのプロとの差なのね、なんて(笑)

      ポイントとバッキング以外止まらない。かっこいい...(追記しちゃおう) バッキング、なんだか感動です。なんと、教えなくてもやるって、ほんとうに血統や生まれもってのものなのですね。クラスにきているレトリーバーたちも、みな優秀なんですがやっぱりそれぞれの弱み強みがあって、生まれつきと言うとみもふたもない気もしますが、その違いを見極めて息をあわせていくのが素敵だなあ~と思います。

      コルク君の走り、見てみたいぞ!(^^) ストップホイッスルはレトリーブで必須ということもありますが、キャスカとどこでもラリラリ散歩したいという私の願望もあって。野生馬や家畜や他の犬といった動物とのふいの遭遇の時や(ダッシュで戻ったりすると、相手を刺激してしまう)、私を見失って呼びに応えようとパニック暴走を起こす時など、私の方からは状況が見えているのにキャスカがまわりを見ていない!(汗)という時などなど。動くな危険~の際に、まずはその場で止めたいんですよね...そういう状況にならないよう、気を付けてはいるけれど何があるかわからないし。むつかしいですー。

      果たしてキャスカは今後「停まれ」をマスターできるのか!? ひとまず予備ホイッスルは、カーキはやめて赤を買いました!(笑)

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  2. 月~水は超多忙で、木はほとんど死んでる私。
    ようやく英国へ来ました。
    いやはや、お二人の会話がとても参考になる、と言いたいところですが、殆ど遠い世界。トレーニング受けられるような時間がとれるまでは本でも買って参考にしようかとも。読む時間がという問題も出てきますが。正しくは読む時間が取れてもすぐに眠くなる。(笑)
    ともかく、まずはホイッスルを買って勉強してみます。
    あ、ブログに来て下さる方でモネママさんも真剣に取り組んでいらっしゃる。
    なんだか心強い気持ち&楽しみになってきました。
    まずはホイッスルとコマンドの付け合わせからですね~。

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    返信
    1. BJAmomさん、コメントありがとうございます☆
      英国へようこそ。お疲れさまでしたー&週末をゆっくり過ごしていらっしゃいますか?(^^)

      私も始めた頃は遠ーい世界だと思っていました。いまだにFTのお話はそんな感じで、刺激的なお話ばかりです。モネママさんのお名前、以前別の方のコメントでも伺いました。大変身をとげられたとか!? 私とキャスカのペアはたぶん、FTでもレトリーブでも競技的なことはしないと思うのですが、野山を一緒に散歩したくてゆっくり続けられている感じです。

      衣笠山の日々を拝見していると、おイヌドモ(この言い方好きなんです。真似っこ!)はいつもmomさまにさりげなく気持ちが向いていて、ホイッスルを加えたらどんどん覚えてくれそうなイメージを勝手に持っています(^^)ゞ シリーズ次回はキャスカのホイッスル事始めを書きますね。

      でも、コロママさんやモネママさんというホイッスラー(?)と直接お話できたら最強かも。おイヌドモとFT見てきてくださーい! そして記事を読ませてください(下心)

      削除
  3. 私の知らない単語が出てきますが、コロママさんコメ含め、勉強させていただいてます。モネママはFBで様子がよくわかり、同じく刺激いただいてますよ。
    ホイッスル、一度使ってみました。
    近くにいたボブが反応しましたが、ヴァレンシアは駆けずり回ってました。^^;
    tomomitさんの次の記事を心待ちにしてるところです。

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